ビカクシダ愛好家というのを、ひとつの趣味として考えた時に思うのだが「趣味とはいえ、極めてみたい」という向上心というのか、熱意というのか、はたまた情熱なのか。
とても素敵なことでもあるのだが、そうした気持ちの注ぎ方が少しズレると迷い道らしい。
私は25年以上、芸能界の中でもかなりニッチな「美川憲一専門ものまね(そっくりさん)」というのをライフワークにしている。(困ったことに、このコロナ禍で失業状態なのだが…)
ビカクシダを通じて知り合った愛好家との会話の中で「それ、なかなか深い」「腑に落ちた」「愛好家として目指す方向性が決まった」と、なにやら一部の愛好家にはとても刺さる話らしい。
今回は「ものまねタレントのビカク論」というのをお楽しみいただくことにしよう。
はじめに:ビカクシダは集める楽しさが醍醐味のひとつ

ビカクシダは魅力的な植物なので集め始めると、いつの間にか「もっと欲しい」と思うようになる。最初は1種類だったはずなのに、次はこの品種、その次はあの品種。
「コレクション性のある趣味」ということだ。
自生地の違い、品種の違い、選抜個体…。ビカクシダには、本当にたくさんの「欲しくなる理由」がある。
そして、今も世界中で新しい個体や品種が作出されている。
これはビカクシダを趣味にする上で、とても楽しい部分であると同時に、あるところまで行くと、ふと思うことがある。
全部集めるのは、無理だな
ビカクシダは、コンプリートできない世界

私が2017年に愛好家をはじめた段階でビカクシダの世界には、世界的に見ても「この人はすごい」と思える愛好家や育苗家が存在する。
たとえばヒリーなら、Yot氏のように”一品種入魂”で個体の選抜や育成に取り組み、独自の世界を築いている人がいる。
日本にも、comolebiさんやVandakaさんのように、長年ビカクシダと向き合い、多くの愛好家やファンを魅了してきたレジェンドたちの存在がある。
そういう人たちを見ていると、コロナ禍を機にビカクシダをはじめた中には「同じように自分もいろんな品種を集めてみたい」と思う気持ちが芽生える人も出てくるだろう。
しかし、世界中のビカクシダをすべて集めることは現実的ではないことは、ほんの少しビカクシダを集めはじめた段階で気づくだろう。
そこを趣味の範囲と捉えるか、果敢に挑んで職業にしたいと思っているのかにもよるのだが。
ビカクシダは、ものまねの世界に置き換えるとわかりやすいらしい

冒頭にも述べたように、私は「そのまんま美川」というものまねタレントとして活動している。
ものまねには、ビカクシダとよく似たところがあるように思う。
そもそも、ものまねという芸能ジャンルは、歌手・アイドル・俳優といったメジャーなものと比較するとニッチなジャンルである。
同じように、ビカクシダという趣味は園芸ジャンルの中でも相当にニッチである。
そんなニッチなものまねの世界にも、誰もが知っているレジェンドが存在する。
そんな方々は、たくさんの芸能人の特徴を捉え、幅広いレパートリーを持つものまねタレントである。

これをビカクシダ愛好家に照らし合わせると…
いろいろな人のものまねができる=様々な品種をコレクションし、美しく育てている人
ということになる。
…そんな存在を目の当たりにしたときに、芸能界デビューの段階で、自分はそういう器用さは持ち合わせていないなと思った。
全部を極める必要はないんじゃないか?
では、自分はどうするか?
そこで私が選んだのが、学生時代から可愛がっていただいていた「美川憲一さん専門のものまね」だった。
ニッチの中のニッチを極めるのが面白い

「ものまねが一番うまい人」になるのは難しい。「たくさんの人のものまねができる人」になるのも、簡単ではない。
でも、「美川憲一のものまねなら、この人」という存在を目指すことはできる。
これをビカクシダに置き換えてみると…
「この品種なら、ぼくなり」というイメージは目指せそうだし、面白そうと思えたから。
すべてのビカクシダの品種を集めようと思えば、きりがない。
だったら、自分の好きなものを決めて、そこを深く掘っていけばいい。

私の場合、それが「P. Ginka(銀華)」だったという話。
そこに出会うまで、ビカクシダをはじめて、本当に自分好みの品種を探し続けること3年ほどの年月がかかっただろうか。
ビカクシダの秘めた植物のDNAの進化、それを銀華に見出したい。そして、いつか「これは面白い」と思える一株に出会いたい。
そんな気持ちで2021年から、私は銀華の胞子培養にも着手しているわけだ。

まだ、その答えを見出すには年月がかかることだが、その過程をゆる〜く楽しんでいる。職業ではないもので。
ビカクシダは「集める」から「極める」の時代へ

ビカクシダを始めたばかりの頃は、どうしても「持っている品種の数」が気になるはず。
「あれも欲しい」「これも欲しい」「まだ持っていないから欲しい」「あの人は持ってるから欲しい」それもビカクシダの楽しさではあると思う。
ただ、「数を増やすことだけがコレクションじゃない」と知ってみるも、ビカクシダの面白さ。
小さな子株でお迎えしたのに、半年〜1年育てたら大きくなると同時に、こんなにも変化するんだ!という目に見える進化を楽しめるのがビカクシダなのだから。
一つの品種を深く知るもそう。
胞子培養を何株も育ててみる。個体差を比べる。育ち方を観察する。
その中から、自分が「これ大好きだ!」と思える株を選んで選抜してコレクションする。
そうしたことは、あれこれ無作為にビカクシダをたくさん集めることとは、また違った楽しさがある。

いつかは自分だけが目にすることができるコレクションを並べたビカクウォールを構築できたら、それは小さな幸せであり、同時に大きな満足につながると私は思うのだが…いかがだろうか。
「好きを極める」、論は易しではあるが。
ニッチの中の、ニッチを極めてみると面白いということが、あなたの心に響けば嬉しいだけの話。
もちろん、これは「ビカクシダのコレクションを絞った方がいい」ということを盛大に推奨することではない。
いろんな品種を育てるのも楽しい。珍しい品種を集めるのも楽しい。自生地の違いを楽しむのも楽しい。ビカクシダの楽しみ方に正解はないと思っている。
ただ、もし「欲しいものが多すぎて困っている」という人がいたら、「自分は何が一番好きなんだろう?」と一度考えてみるのも面白いと思う。
- ビカクシダの好きを極めるためのコツ
-
- 好きな品種を3つに絞ってみる
- その中でも特に好きな1つを決めてみる
- その品種を胞子培養によって少し深く追いかけてみる
こうした考えを持つだけでも、ビカクシダの見え方が変わってくるかもしれない。
そこから「この人、この株、この品種、この分野なら負けない」という自分がイメージできたら、あなたはビカクシダ愛好家としての極みの境地を目指せる人だと思う。
私もそこを目指して歩んでいるわけで、昨今はやりのYouTubeやインフルエンサーを目指しているわけではない。

ただ単純に、自分が大好きを貫いているだけで、「銀華が紡いでくれる、自分しか目にできない景色」を目指しているだけ。
つまりは、2022年初頭の段階で、ビカクシダは「集める」から「極める」の時代へ突入していると思っている。
おわりに:ブレないビカクシダ愛好家になれるかな?

ネットやSNSが進歩して、様々な情報が目に入ることから、情報合戦が早くなって、自分と同じようなタイミングで始めたのにすごい人がいる…
そんな時代だから悩める新規参入のビカクシダ愛好家が増えたのだろうか?
私はSNSよくわからん妖怪おじさんなので、あまり詳しくないのだが…しばしばDMやお問い合わせのメールをいただくもので記事にしてみた。
ともあれ、「ビカクシダという趣味も、ものまねと同じように、狭く・深く探究してみると唯一無二の楽しみ方ができるのではないか」という話をしたかったわけだな。
ビカクシダ愛好家として、目指す方向性に迷い道の最中にある若者たちに向けて。
何かしら響くものがあれば嬉しく思う。ではでは。






コメント
この記事へのコメントはありません。
この記事へのトラックバックはありません。