世の中には、実際には同一の物なのに2つの名称(時に2つ以上の名称)が存在する物というのがいくつもある。
例えば「SDカード = メモリーカード」「Wi-Fiルーター = 無線LANルーター」「ホッチキス = ステープラー」といった具合に。「ウォシュレット = 温水洗浄便座」なんてのもそうだ。
今回は、「ビカクシダ = コウモリラン」2つの名称のルーツを考察する。
ビカクシダ(コウモリラン)ってどんな植物?

ビカクシダ(コウモリラン)は…大きく言えば植物なのだが、もう少し掘り下げると「シダ植物」に分類される。
ビカクシダ(コウモリラン)
ビカクシダ属(ビカクシダぞく、学名:Platycerium、プラティケリウム)は、ウラボシ科のシダ植物の1群である。熱帯域に生育する着生植物で葉には2つの型があり、1つは盾状に広がり、他方は細長く垂れ下がる。観賞用に栽培されることがある
ウィキペディア|ビカクシダ属
理科の授業で習ったように、「シダ植物」なので花が咲かないことや、「胞子」で繁殖することを思い出した人もいるだろう。
そんなシダ植物の中でもビカクシダ(コウモリラン)はおもしろいことに、1つの株に「胞子葉」「貯水葉」という2つの異なる形状の葉を出し、独創的な株姿が楽しめる植物である。
ビカクシダとコウモリランは同じ?

結論から言えば、ビカクシダとコウモリランは同じ植物のことを指す。
呼び名の由来は諸説あるが、「ビカクシダ」と「コウモリラン」という2つの呼び名が存在する理由について、私は以下のように考えている。
ビカクシダと呼ばれる理由

ビカクシダは、漢字で「糜角羊歯」と書く。
「糜(ビ)」というのは、中国の空想上の生き物で鹿のような姿をしているらしい。その「角」のようなシダ植物だからビカクシダ。
品種によっては確かに、鹿の角のような見た目に成長するから納得するところ。
コウモリランと呼ばれる理由

この呼び名もまたわかる。
品種によっては、確かに「電線にぶら下がり、羽根を広げるコウモリ」のようにも見えるから。

コウモリランが群生する様子 出典:https://pin.it/1ZOT10Xkl
いにしえの日本人が、夕日に照らされたシルエットを見て「コウモリラン」と呼んだのではないか?といった想像をしてみるのも風流だったりする。

木にぶら下がって休むコウモリの例 出典:https://pin.it/2JPIxVXqX
日本国内で「園芸」という市場が構築されていく中、コウモリランという名称で流通させたのが令和の時代にも根強く残っている様子。
では、「ビカクシダ」と「コウモリラン」どちらで呼ぶのが正解なのか…

まだまだマイナーな植物なので、両者の名称が共存していくことになると予測している。
現に、ホームセンターなどで販売される際の商品タグに「ビカクシダ」「コウモリラン」の両方が記載されていることもよくある。
あえてどちらの名称で呼ぶのが正解かと言ったら「相手に通じやすい方で呼ぶのが正解」だろう。
だが、令和の時代においては「ビカクシダ」と呼ぼうというのが徐々に広まっている気配を感じている。
なぜなら、「コウモリラン」の名称に含まれる、”ラン=蘭”ではない、あくまでシダ植物であって花は咲かないから。
育てていけばいつかは花が咲くと期待しても、残念ながら「ビカクシダ」なのである。
- 愛好家の間で主流な呼び方は?
- 断然、「ビカクシダ」と呼ばれている。略して「ビカク」と呼ぶことも多い。
おわりに:私的ビカクシダアーカイブでは「ビカクシダ」

ということで、今回は「ビカクシダ = コウモリラン」2つの名称のルーツを考察してみた。
私も実際には、話の相手によって「ビカクシダ」「コウモリラン」のどちらでも呼んでいる。
園芸店でも店員によっては「ビカクシダ」と言っても「ん…?」みたいな顔をされるので、そういう場合は「コウモリラン」と伝えると話が早い。
ただ、このサイト「私的ビカクシダアーカイブ」では、
極力「ビカクシダ」の呼称で統一して、補足的に必要な場合に「コウモリラン」といった表記にしている。
「ウォシュレット = 温水洗浄便座」と同じように、「ビカクシダ = コウモリラン」。
通じやすい方を使うのがやっぱり正しいし、便利ということで。(←お通じ大事w)



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