私が「P. Ginka(銀華・ギンカ)」の胞子培養をはじめたのは、2021年5月のことだった。
今回は「未来のビカクシダの名作は誕生するか?!というチャレンジ3年目の記録」をお届けする。
桃栗三年柿八年といったことわざがあるが、ビカクシダの胞子培養からの作出というのは「桃」「栗」よりは年月がかり、「柿」よりは早く答えが見つかるはず。
「P. Ginka」胞子培養3年目の記録

ビカクシダ胞子培養チャレンジ3年目を振り返ると、生育スピードにバラつきもありながら、多くの胞子培養株は安心サイズに育った段階。
つまり、板付株が相当数になるということ。
ポット苗をつくるだけならワンルームでも簡単にできるのだが、作出や選抜という段階まで目指すとなると、板付に仕立ててみないとその株のポテンシャルがわからないということだ。
個性的な株姿の雰囲気が感じられる個体がチラホラ目につくため、「これ良いかも!」に一喜一憂できて楽しい頃。
たくさんの品種を集めている愛好家とは違ったコレクションのセンスではあるが、私もたくさの株を育てている人である点では同じ。どうにか板付株を掛ける場所の確保に余念がない。
試行錯誤でDIYにも取り組んでみたりする機会も増える。
楽しみと大変さが錯綜する時期ではあったが、ゆる〜く楽しみながら。
選抜個体を見つけ出すのが楽しい時期、私の選抜方法

ナーセリーや作出家がどのような基準で選抜個体を決めているかは知らないが、私の選抜方法を紹介する。
一部分ではあるが、我が家の「銀スポコーナー」。生育順に1ロット100株くらいの量でいくつも作っているわけだが、バリエーション豊かな表現で眺めているだけなら楽しいだろうが…水やりなどのメンテナンスは大変。
さて、そんな中から、より個性のありそうな株をピックアップして「選抜個体コーナー」に並べる。
スポーツに例えるなら「一軍」というイメージ。
その他の選抜漏れの株は「二軍」としておくわけ。
「一軍」の中でそのまま”好みでいい感じ”なこともあれば、数ヶ月ほど経過したら”パッとしなくなる”こともある。

胞子葉の白さもさることながら、裏がカッパー色とか…期待したくなる?!
また、その逆も起こりうることで「二軍」から「一軍」に格上げされる個体もあるし、これまでの生育の遅い個体から「もっと個性的な株」が見つかることもある。
つまり、ポット苗の段階では平凡であっても、板付されてしばらくするとポテンシャルを発揮してくる株があるということ。
しばらく様子を見つつ、このまま一軍に定着できそうな個体から「BOKUNARIコレクション」として「#◯」とナンバリングして管理している。
こんな感じに私はビカクシダの胞子培養株を選抜している
OC株との比較で、より個性的な選抜個体を見極める

OC株と自らの選抜株を横に並べて育ててみると選抜個体の見極めに自信が持てる。
特に白系ビカクと言われるOC株(写真中央)よりも、胞子培養株の方が白系ビカク感があったりするからビカクシダのDNAが紡ぐ進化には驚く。
さらに成長度合いが近い株であれば、サイズ感や株姿、胞子葉の分岐の違いもわかりやすくて良い。

より細かな星状毛のディテールや胞子葉の厚みや葉脈などは、肉眼で比較することで、より確実な違いを確認し、選抜個体への自信を高めながら厳選している。
増殖につぐ増殖。胞子培養株からも子株がコンスタントに採取できる時期

生育の早めだった胞子培養株は、2年目の段階で子株を出した株もあったのだが、様々な株でもポコポコと子株増殖がはじまる。
もちろん、注目している選抜個体も子株を出すようになるため、あちらこちらでメンテナンスを待つ株がある。

ビカクシダの増殖のフェーズであるということは、栽培スペースの確保や育成ライトなどの設備、水やりや板替えなどのメンテナンスにかかる時間、水苔や着生材などの資材も加速度的に増加する。
なんなら私の腰痛に貼るロキソニンテープの消費量も増加する。無意識に板付が上達する。
大量の胞子培養株をどうしたかという話

無限増殖し続ける大量のビカクシダをどうしているか疑問に思う人もいると思う。
選抜個体やその候補株については引き続き経過を見ているわけだが、さすがにポット苗の全てを育て上げることは私の環境では不可能。
もちろん調子を崩して枯れてしまったり、管理が行き届かず枯らしてしまった株もあるが…
昨年から数回に分けて海外のナーセリーからまとまった数の注文がありポット苗の段階で200株ほどは海を渡ったと思う。(それを日本人が仕入れたとも…風のウワサで耳にしたが…)
また一部はフリマサイトやオンラインショップを通じて国内のオーナー様のお手元にお迎えいただいた。
そして、結構な数の株を実験や自身の栽培スキル向上のために活用させてもらっている。

ビカクシダの品種の中でもデリケートなFSQの系譜から、屋外や半屋外環境に強いDNAを持った個体はないかと挑戦してみたりもしたが、さすがに40°C以上にもなった昨夏は過酷すぎたようだった。
たくさん育てて、たくさん枯らすおじさんなのだ
おわりに:「P. Ginka」胞子培養3年目の記録まとめ

今回は「未来のビカクシダの名作は誕生するか?!というチャレンジ3年目の記録」をご覧いただいた。
日々の水やりや観察にはかなりの時間と労力を要することにはなったが、ビカクシダのDNAが紡いでくれる「個性的な表現を選抜する楽しみ」がねぎらってくれた1年。
- 胞子培養3年目の記録まとめ
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- 多くの株が板付サイズまで成長し、個体ごとの違いやポテンシャルが見え始める。
- 個性的な株を「一軍」として選抜。(ただし、成長に伴い評価は変化することがある)
- OC株と並べて比較することで、白さ・サイズ・分岐・葉脈などの違いがより明確になり、選抜個体を見極める判断材料になる
- 栽培スペースや設備、資材、メンテナンスの負担も一気に増加。。
- 一部は国内外の愛好家のもとへ送り出し、残した株は選抜・実験・栽培技術の向上に活用している。
…といった感じ。

立葉がカッコよくなりそうな気配がしている個体
目標達成についても確認しておく。
- 胞子培養にかける期待と目標
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- 貴重なビカクシダのDNAを全滅させないこと
- 選抜個体で「BOKUNARIシリーズ」みたいなラインナップを組みたい
- ネームドされる株を作出したい
- OC株よりもコンパクトなドワーフ個体を作出できたら浪漫の達成
- 斑入り個体を発見できたら宇宙人の領域かな
まだまだ暫定的な側面はあるものの、選抜個体で「BOKUNARIシリーズ」みたいなラインナップを組むことはできそうな気配は感じられただろうか。
そんな浪漫やストーリーを紡ぎつつ、「桃」「栗」より年月がかかって私の「P. Ginka」胞子培養株チャレンジは4年目へと突入していく。




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